大西康明さんは、『restriction sight』という広い空間に光が浮遊するインスタレーションで第9回アート部門の審査委員会推薦作品に選出されています。今回も企画名が示す通り、空間を使って『現象を制御する仕組みによるインスタレーションの制作』を試みます。

初回の面談は、東京工芸大学教授でゲームクリエイターの岩谷徹氏と行われました。

大西さんは昨今、大きな空間にビニールシートと接着剤で山のような形状を出現させる彫刻的な作品のシリーズの制作を続けていました。しかし、今回のクリエイター育成支援事業での制作をきっかけに新しいタイプの作品の制作を予定しています。

タイトルにある「現象」とは、その場で何かが起こっている状況を見せること、例えば空気によってシートがふわっと浮きあがるような「現象」をイメージしているということでした。
何かに支えられることによって、物体が空間に浮遊状態にあるのではなく、物体が空気によって浮遊する現象を、装置の開発も含めて創出しようとしています。岩谷氏からは展示のために現段階でイメージしている具体的なスペースや想定されている装置の仕組み、その制御方法といった成果発表に繋がる質問が続きました。また、浮き上がったシ―トを常に水平に制御する必要はないのかといった質問も飛び出し、これから制作が開始される作品に対して示唆に富む議論が行われました。

現状ではコンプレッサーのような装置の使用を想定しているものの、これまでこういった装置を制作して展示を行ったことがないという大西さん。加えて展示空間ではシートの浮上するような微音を鑑賞者に聞かせたいと希望があります。コンプレッサーは起動の際、大きな音がするため、出来る限り音を立てずに空気を制御する装置の開発が今後の課題の一つになりそうです。

次回のレポートでは展示スペースの想定も含めて、進捗を報告したいと思います。